京都府北東部に位置し、原生的な自然が残る、芦生(あしう)の森。
芦生の森の、日本海型と太平洋型の気候帯が混ざり合う珍しい自然条件は、本州に分布する全ての大型哺乳類や、木本類243種・草本類532種・シダ類85種など数多くの動植物が生息する、日本国内においても他に例を見ない豊かな生態系を育んできました。
また、古来から森の一部を、地域の人々の暮らしを支える共有林として守り活かしてきた歴史があり、鯖街道(*1)の起点という立地と豊かな森林環境から、木地師たち(*2)が活躍した場所でもあります。
約100年前から、京都大学の芦生研究林(約4,200ha)として、持続的な保全と利活用、教育研究が行われています。
しかしながら、近年はシカの食害を中心とした、森の荒廃がすすんでいます。
かつてはダムの建設計画もあった芦生の森ですが、地域住民が中心となって森を守ってきた経緯があります。
私たち芦生もりびと協会では、これまでの芦生の森の営みを大切に守り、豊かな自然や歴史を多くの方々に知っていただくために、京都大学の許可を受けたルート(*3)で整備活動やガイドツアーを行っています。
*1 通称・鯖街道(若狭街道)は、海を持たない京都の人々が鮮魚を得るために不可欠な道でした。若狭から運ばれた物資の中で、特に鯖が有名であったため、鯖街道と呼ばれています。
*2 木地師:轆轤(ロクロ)と呼ばれる特殊な工具を使って、盆や椀、コケシなどを作る職人のこと。
*3 芦生の森、京都大学芦生研究林を散策する際は、入林申請が必要です。詳しくは、以下公式ページをご確認ください